2月, 2013年
銀行の格付の基準!何年で借入金を返済出来るか?
③ 売上高経常利益率
経常利益 ÷ 売上
これは見ての通り、売上に対する利益の割合なので、高ければ高いほど良いです。
5%あるとまずまず。1%未満だと「経営体質が悪い」という判断をされることが多いので、要管理先以下ランクの可能性を疑わないといけません。
④ 何年で借入金をすべて返せるのか
理屈の上で、今の借入の残高すべてを、理屈上あるはずのキャッシュで返済するとすれば、理屈上何年で返済出来るか、という数字です。
(長期借入金 + 短期借入金 )÷ (経常利益 + 減価償却費 + 役員報酬)
わかりますか?
これを見たある社長が、「これやったら、役員報酬を全部返済に回すという考え方ちゃうん?それやったら生活費どないなるねん!いくら理屈の上でもおかしいやないか!」と言われたことがありますが、まあ、たしかにそうですね。役員報酬すべてを返済に回してしまったら、生活出来ない、ってことになりますが、まあ「理屈の上」ですので。
こないだメガバンクの融資係に聞いたら「うちは役員報酬から600万円は生活費として差っ引いた部分を理屈上の返済原資と考えます。」と言っておられました。また、別の地方銀行に聞いたら「500万円を差っ引きます。」
差っ引かずにすべて返済に回せるもの、という前提でこの式が成り立つのですが、信用金庫の場合はまったく差っ引かないというところが多いですね。
これは当然少なければ少ない方がいい、ということになります。
銀行によって「この数字以内ならまずまず」と銀行が思っている(と言っても我々の主観ですが)年数を以下にあげてみます。
メガバンク・・・・・・・8年
地銀・・・・・・・・・・10年
信金・・・・・・・・・・20年
⑤ 1人当り売上総利益
売上総利益(アラリ) ÷ 人数(パート・アルバイトは0.5人に換算)
これは生産性を表します。
上記計算式が、900万円ならまずまず、700万円以下ならちょっとまずいなぁ~、という領域ですね。
さて、これで以上5つの指標をご紹介しましたが、この5つの指標のうち、1つでも「ちょっとまずいなぁ」というゾーンに入っていたら、要注意先に入れられていることを疑わないといけません。
まずはザッと簡易診断をご自身でやってみてください。
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- 私、桑山があなたの融資(資金の借入れ)をサポートいたします。
信用金庫・地方銀行の格付(査定)の基準は?
銀行(信用金庫・地方銀行)の格付とは・・・
銀行は以下のように、基本的に、各銀行が金融庁ガイドラインにもとづく6つのランクに格付をしているのです。
■正常先
業績は良好であり、かつ財務内容に特段の問題がないと認められる企業
■要注意先
業績低迷、あるいは借入金の返済の延滞があって今後に注意を要する企業
■要管理先
要注意先の中で3か月以上の延滞、あるいは返済条件緩和を銀行に依頼してもらっている企業
■破綻懸念先
現在破綻の状況にはないが今後破綻が懸念される企業
■実質破綻先
法的、形式的には破綻ではないが、実質破綻している企業
■破綻先
法的に破綻している企業
・・・という説明を前回しました。
さて・・・
融資を受けるには、「正常先」あるいは「要注意先」に入っておかないと融資を受けるのは難しい、いや無理、という現実があります。
ご自身の会社でどのランクに入れられているか、というのを知っておくというのは非常に重要になってきます。もし要管理先以下に入れられていたということがわかったら何とかそこから脱出する努力をしないといけませんから。
では、具体的にどこに入れられているのか?
ではどうやって知ったらいいのか?ということになりますが、自分で簡易に診断する方法をご紹介します。
これだけは最低限おさえておけばだいたいわかる、という基準を列挙します。
①流動比率
決算書の中の貸借対照表(バランスシート)の中に必ずあります。
流動資産 ÷ 流動負債
を流動比率と言います。
流動資産・・・現金・預金・1年以内に現金化できるもの(売掛金、受取手形等)
流動負債・・・1年以内に返さないといけないもの、あるいは1年以内に支払わないといけないのもの(買掛金・短期借入金・未払費用・支払手形等)
これは高ければ高いほど良い
130%でまずまず 100%で自転車操業している会社、ということになって、「要管理先以下」ランクの可能性を疑わないといけなくなってきます。
②自己資本比率
純資産(役員借入金も含める) ÷ 総資産
総資産資本に対する自己資本の割合のことです。
企業の財源は、資本主自身から調達される「自己資本=純資産」と、債権者など第三者から調達される「他人資本=負債」とからなっています。
企業の財務的安全性をみるとき、自己資本の構成比率の高いほうが、健全で耐久力が強いということでよく使われる指標です。
もちろん高ければ高いほど良いものです。
25%でまずまず
10%以下だと「経営体質が悪い」という判断をされて、要管理先以下ランクの可能性を疑わないといけません。
役員借入金を自己資本と合算する理由は・・・・
まず、社長が会社にツッコでいるお金ということなので、悪くは見られません。銀行によっては、純資産と同等だ、という解釈で、言わなくても自己資本に加算してくれる銀行も多く存在します。
銀行によって若干違うので、心配な場合は、「役員借入金は純資産の中に入れてくれるのか?」とまともに聞いたらいいです。
そしたらですね、「うちは入れません。」とはっきり言ってくれるところもあります。
入れてくれない場合、役員借入金を資本金に組み入れる、ということも考えましょう。
それをするには税務上いろんな要件がありますから会計事務所に相談してください。
それからついでに言いますと、役員借入金という勘定科目のままで残しておくんだったら、「固定負債」の中に入れてしまってください。短期借入金ではなくて「固定負債の中の長期借入金と同等」という意味で「固定負債」の中に入れてください。
当然、自己資本比率が良くなるからです。
(つづく)
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銀行からみた企業の格付けとは?
銀行の格付の要素
以下のような順番で決定していきます
■格付けの要素
金融機関からみた企業の格付は、「定量要因」と「定性要因」の2つの要素によって決定します。
■定量要因(財務評価)・・・コンピュータに決算書の数字をすべて入力して、財務状況
の分析をさせて評点をつける
[1]安全性 [2]収益性 [3]成長性 [4]返済能力
■定性要因(非財務評価)・・・通常点数では表現しにくいもの
[1]業歴 [2]経営者・経営方針 [3個人資産 [4]市場動向
などなどなんですが、
その他銀行によって含まれる定性的要因のもの
[5]シェア [6]業歴 [7]経営基盤 [8]競争力 [9]研究開発力 [10]含み資産の有無 [11]経営者の能力、資質 [12]経営方針 [13]経営者の個人資産力 [14]後継者の有無―
これらの定性要因は、銀行等の担当者の主観でポイント化します。銀行によっても項目が違うし、担当者の主観ですからてんでバラバラっていう感じですね。
ちなみに
定量評価 定性評価
メガバンク 100 0
地方銀行 75 25
信用金庫 60 40
銀行の格付の流れ
定量要因(決算書の数字)を 基本的にはそのまま コンピュータに入れる
↓
定性要因を無理やり点数化してコンピュータに入れる
↓
6つのランクのうちどれに入るかが自動的に出てくる
というような感じで、6段階のどこにランク付けるのか、という評価の最終決定をします。
先ほどから通信簿のように1から6までの6ランクありますよ、というお話をさせていただきました。
では具体的にその6段階というのはどういうものか、というのが次に出てきます。
銀行からみた企業の格付
① 6つの格付(金融庁ガイドライン)
・正常先
業績は良好であり、かつ財務内容に特段の問題がないと認められる企業
・要注意先
業績低迷、あるいは借入金の返済の延滞があって今後に注意を要する企業
・要管理先
要注意先の中で3か月以上の延滞、あるいは返済条件緩和を銀行に依頼してもらっている企業
・破綻懸念先
現在破綻の状況にはないが今後破綻が懸念される企業
・実質破綻先
法的、形式的には破綻ではないが、実質破綻している企業
・破綻先
法的に破綻している企業
(つづく)
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融資の限度額の基準は?
融資限度額の基準
以上のように、たった一つの事例からでもポイントがいくつか見出せると思います。
ここで気になるのは・・・・
銀行によって重視する利益はわかった、では利益を具体的にいくら出したらええねん!
うちはこの決算書提出したら2000万円借りたいねん、いくら利益だしたらええねん、みたいな話がしょっちゅう聞かれます。これ、わたしも非常に困ります。
これはケースバイケースでわたしも何とも言えないんですが・・・
しいて言うなら、直近の決算書で
融資限度額の基準は・・・
(税引後当期利益 + 減価償却 ) × 5倍
というのがだいたいどこの融資係も口に出す基準ですね。
じゃあ、この5倍の残高を超えたらもう借りれないんか、って聞くと、いや、それはまたケースバイケースで、という答えがどの融資係りからも返ってくるんですが、まあ一応こういう基準がある、ということだけは覚えておいてください。
さて・・・・
今までですね。
利益が大事だ、ということしつこくお話してきたわけですが、金融機関は当然「利益」だけを見ているのではありません。
ではそれはいったい何でしょうか?ということになってきます。
金融庁検査マニュアルをベースにした(貸出先を審査するための)査定マニュアル
それは各銀行が「査定マニュアル」というのを持っていてそれを元に、融資先の会社を査定する、どれだけ安全な会社かという査定をしています。
この「査定マニュアル」というのは、金融庁が出している「金融庁検査マニュアル」をベースに各銀行がまあ、それぞれ独自の考え方というのがありますから多少アレンジして作って、金融機関独自のものとして持っているものです。
ちなみにこの「金融庁検査マニュアル」は金融庁のホームページからダウンロードできます。ぜひ一度見てみてください。「金融庁検査マニュアル」とヤフーに入れたらすぐ出てきますからね。
こういうケースの場合はこういう区分に入れられてしまう、といううような具体例もいくつかは載っています。
そして各銀行はその査定マニュアルに基づいたコンピュータソフトを作って持っています。
そしてその査定マニュアルに基づいて、決算書の数字を独自に作ったコンピュータソフトに数字を入れて、当然コンピュータに自動的に計算させて結果6段階の評価1~6のどこに入るかが自動的に決めることになります。
その企業の経営状態の通信簿がみたいなものがつく、というようになっています。
その6段階のどこに入るのか、ということになるのですが、
以下のような順番で決定していきます (つづく)
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銀行への対応~利益を出す!&複数の取引銀行を!~
その1つ目!
一番重視する利益を明確にする
利益といったら大きくですね3つありますよね。
「営業利益」と「経常利益」と「税引後当期利益」です。
この3つの利益のうち、取引銀行(というか融資してもらいたい銀行)はどの利益を一番重視するか、ということを知っておかないとダメです。
出入りしている融資担当者がいるのなら聞いてください。
おたくの銀行の場合は、どの利益を重視するのですか?
もし来てもらえないんだったらこちらから行って聞いてください。
アホな雑談を30分くらいしながら、さりげなくところでおたくの銀行はどの利益を一番重視するんや、ということを聞いてください。
先ほどの場合は、たまたま、営業利益を一番重視します、という地方銀行だったのですが、そうでない場合も多々ありますので、ズバッと聞いたらいいです。
そしたら、人によりますが、結構ズバッと言ってくれたりします。
で、不幸にも教えてくれなかった場合、一般論で判断するしかないのですね。
通常は、この3つの順番で重視します。
② 営業利益
① 経常利益
③ 税引後当期利益
銀行が教えてくれないんだったらしかたないですね。一般的に一番多い順番、この順だと決め付けて、経常利益だけはなんとしても黒字にもっていく、ということをやってください。
もちろん全部黒字だったら一番いいんですよ。それが出来ない場合は経常利益だけは何としても黒字に持っていってください。
というのがこの事例から言える一つの大きなポイントです。
その2つ目!
取引銀行を複数もつ
何を今更という感じなんですが、うちの顧問先の社長さんにはですね、年商10億以下のところだったら、最低信用金庫3行くらいとは付き合っておかれた方がいいですよ、というのは必ずお伝えしています。
最初は定期積金からがいいですね。近くの信用金庫で集金に来てくれるところを選ぶ。
最初はどうするのか、会計事務所あるいは知り合いの社長の紹介というのが一番いいですが、そのツテがどうしても、無いならインターネットで探すのでもしかたないです。
近くの信金に電話して定期積金したいんやけど、毎月3万円やけど、集金しにきてくれるか?ということを聞いてまずは呼びつけてください。
集金はしない、という方針のところはつきあってもしかたないですね。毎月1回は顔をあわせて最低30分はアホな話ししながら情報交換してこちらのことをわかってもらう、ということをしていく工程が必要になってきます。
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銀行を選ぶ!!成功事例と失敗事例
ここでは、当社へご相談があった某運送会社の事例をご紹介します。
いかに、金融機関を選ぶのが大事か、銀行の選択を誤ると致命傷になるのか、ということがわかっていただけると思います。
(某運送会社の事例)
損益計算書
23年度 | 24年度 | |
売上 | 22000万円 | 24000万円 |
▲原価 | ▲17000万円 | ▲20000万円 |
粗利 | 5000万円 | 4000万円 |
▲経費 | ▲3500万円 |
▲ 4100万円 |
営業利益 | 1500万円 | ▲ 100万円 |
雑収入 |
300万円 | 300万円 |
支払利息 | ▲ 100万円 | ▲ 100万円 |
経常利益 | 1700万円 | 100万円 |
▲税金 | 700万円 | 40万円 |
税引後当期純利益 | 1000万円 | 60万円 |
(経費3500万円のうち減価償却費1000万円) | (経費4100万円のうち減価償却費800万円) |
原価というのは外注で運送会社を使ってますのでその外注費
粗利から経費、経費というのは「販売費および一般管理費」というように決算書に書いていますが、ここでは略して、経費、経費、と呼んでいます。
支払い利息・・・借り入れ残高が3000万円くらいでしたんでそれに対しての支払利息が
100万円。借り入れ残高が3000万円です。
銀行の方からみて年商の5割を超えるとちょっと多いかなぁ、と思うみたいです。
5割超えたらアウト、ということはないですが、印象としては悪いですね。
これで当時契約していた会計事務所さんに依頼して、申告書を出して税務署の印鑑をもらった上で、メインバンクである某地方銀行の融資担当に来てもらった。
ただこの社長さんですね、かなり不安だったようです。
なぜかというと、20年と21年を見比べていただいたらわかりますように、だいぶ悪いですね。売上は上がっているのに、営業利益も、経常利益も、税引後当期利益も下がっている、というような状態です。
それも社長はわかってはったんで、前期より悪いのは気になるけどまあええかぁ。希望額の1000万円くらいやったらすぐプロパーで借りれるだろう、という感じで心配しつつも楽観的に構えてはったらしいです。
決算直後に地方銀行の融資係が来て、決算書をみて、前の年はニコニコ顔で「今年も頑張ってますなー」と言って決算書見てはるそうなんですが、今回の決算書を見た限りでは、明らかに顔が曇っていた。いつもと様子違うなぁ、と思って「やっぱり、前期よりいったい何なんですか?」と聞いたら、
「いや、別にそれはいいんですが。ちょっと・・・」
と言い難そうに、言われたのが・・・
「営業利益がマイナスになっているのが致命的ですね。」
ということを言われたそうです。
えっ?うち年商2億4千万円ですよ。最終の利益60万円あるじゃないですか。経常利益は100万円あるじゃないですかぁ。営業利益が赤字っていうてもたった100万円ですよ。なんでなんですか?とあわてて言ったそうです。
それでも繰り返し言われたのは、その地方銀行では「営業利益」をうちは一番重視しますから、これでは他の数字が良くても~、というように言われたらしいです。
「それやったら決算書まとめる前に言っといてくれよ~!」 と喉まででかかったらしいんですが、決算書申告書を提出したあとなので言ってもしかたない。あとのまつり。
それでこの地方銀行ではどうにもならん、ということで、うちに相談していただた。
で、そこでうちはどうしたかというと、非常に単純明快な話なんですが、営業利益ではなく、経常利益を重視する信用金庫を紹介させていただいて、それもいきなりプロパーではどうしても無理でしたんで、保証協会つきで2ヵ月後にやっと希望額の1000万円が借りれた、という事例が最近ありました。
保証協会でいくんやったら、メインバンクの地方銀行で融資やってもらったらええんちゃうの?わざわざ今まで取引もない信用金庫を紹介せんでもええんちゃうの?と思われるかもしれませんが、保証協会使うのでも、銀行側に20%の責任がありますので、保証協会が通っても銀行で通らんというケースが多々出てきております。
このケースもまた時間かかりますので、保証協会しか手がないな、とわかった時点でこの地方銀行をあきらめて別の信金を探した、ということです
というような単純明快なたったそれだけの事例です。
ただこの単純なたった一つの事例の中ででも、融資を受ける際の大きなポイントがいくつか見出せるのではないかと思います。
- 私、桑山があなたの融資(資金の借入れ)をサポートいたします。 どうぞよろしく!




